5月2日(木)の日記。晴れ。
少し動けるようになったので午後少し散歩する。
本当は公園のベンチで読書…と思ったんだけど、先に取られてしまったので放浪がてら。
天気はよいし暖かいしで、いつまでも歩いていたくなる程に気持ちが良い。
ぶらぶら歩いていたらいつの間にか図書館に着いた。
ジェノサイドを扱った「
人間が人間でなくなるとき」という写真主体の本を読んだ。
沖縄広島長崎だけでなく、南京虐殺、ナチのホロコースト、ベトナム、フィリピン、スリランカ、アフガン、、、
日本が関係する文献の方が細かく資料も多くなっているものの、ジェノサイドと一口に表せられない多くの行為や
その背景、歴史について述べられていて興味深い。のみならず、各章ごとに用意された写真の数々が何ものよりも
雄弁に当時の全てを語る。斬首後に胴体と首とが転がされたまま放置されている馬賊、輪姦後腹を切られ放置され
た年齢を問わない女達の死体、見せしめとして柱にぶら下げられたままの村人達の頭、将来を危険視され殺されて
放置された子供、数知れぬ子供達の死体、死して尚銃剣術の練習台とされた死体、刀の切れ味を試す為に首を差し
出す中国人、誇らしげに斬り落とした首を片手に持つ日本兵、死体と笑顔で記念撮影する米兵。この本を読んでい
て一番はっとしたのは、日本兵等が隷属とした米兵等を捕まえて彼らの何もかもを剥ぎ取る中、卒業校の指輪をも
取られてしまった米兵が「私も○○年の○○校卒業者だ」と丁寧に説明して指輪を返したというエピソードだった。
この瞬間、彼は一兵卒としてではなく一人の人間に戻った。ではその切り分けは? 戦争のような非常時のみなら
ず、日常においてもこういうことは多々ある。これこそが自分がずっと追いかけたいと思っている深層ではないか。
#リンク先は多分新装丁版(?)
帰り道に通った公園には、「バット(の使用)禁止」の子供向け看板が。
最近どうしても、この手の「〜禁止」な看板が目立つ。何かあった時に責任がとれないという大人の勝手な事情。
これじゃ、こういうところでバット振ったりしちゃ隣の子に当たっちゃいそうで危ないなとかって判断も出来なく
なったり、他人のことなんて気にしなくなったり、或いは禁止じゃないんだから何でもありなんでしょみたいなこ
とをさも当たり前のように言っちゃう子が出て来ちゃうだけなんじゃないのかね。危険だから、怪我するから、他
人の子に危害を加える可能性があるから…という理由で子供を過保護に甘やかしたらどうなるか。そんなの今の親
なら身を以て知ってる筈じゃないの?って思うんだけど。まあ、そんな判断すら出来ない程に洗脳されちゃってる
のかもしれないけどね。今の親ってよりは、今の大人世代って奴は。
図書館にいた時間も入れてたかだか2時間程度なのに、くたくたになってしまって、帰宅して暫くベッドにダウン。
一応、出掛ける前に干しといた冬物布団取り込んだりとかはしたけど、食べてないせいかぐったりだったので…。
その後また起きて食事したりしているうちに少し良くなってきて…。あとはネットだけど感激する程に久し振りの
人とかに会えたりして、色々話したりしているうちに朝。でも、久し振りに少し良い気分で寝ることが出来た。
やっぱり何か名古屋の人ととかと話が出来るっていいなぁ…。
5月3日(金)の日記。やや曇り気味。
今日はどっか新宿御苑とかの公園に行って本読んだり昼寝したり…なんて思ってたけど、思ったより曇りがちとい
うかはっきりしない天気だったので、家中の掃除やら何やら最近殆ど出来なかったことをする。有り難いことに、
いつもと違って時間はあるのでマイペースで出来たので疲れた身体には丁度良い。風呂にも入って、夕方になる少
し前に新宿に出掛ける。ひとりで少しなら動けるようになった…という気がしたので。
最初は、
高島屋の催事場で行われている「
鉄腕アトムの軌跡展」に行ってきた。
アトムが生涯の中でも大好きな物語だから…ということでどうしても行きたかったんだけど、展示内容は思ってた
のとちょっと違ってて、アトムを中心としたロボットの歴史という感じだった。
チェコの戯曲の中で初めて
労働者
を語源としたロボットという名前が出て来て(このストーリー自体信じられない程に秀逸でこれが80年前のものと
は信じられない程…)以来、実際に色々なロボットが誕生(Televox なんて今検索しても当時のは出て来ないなぁ)
し、また戦前戦中と様々なロボットが登場する漫画が登場(田河水泡まで描いていたとは知らなかった)したり…。
他にも色々知らなかった面白い展示もあったりして、それはそれで良かった。ロボットの歴史コーナーの次に、漸く
アトムの原画や映像その他が展示されているスペースがあって、その先になると殆ど時間がなくて余りゆっくりも
出来なかった(する必要も「?」)んだけど、1970年の大阪万博に
フジパンのパビリオン「ロボット館」に出品された
手塚デザインのロボット達も並んでいて、
愛知万博のお陰で行き場の失ったロボット達がこうしてまた日の目を見
る日が来たんだなぁ…という感じ。それにしても当時としては、本当にわくわくするような内容だったんだろうな
と思う。今見ると単なる大きなブリキの玩具が並ぶだけに見えるかも知れないけど…。で、次のスペースに移ると…
鉄人28号やらマジンガーZやらガンダムやら…果てはエヴァンゲリオンまでが出て来て唖然。いや、いいんだけど。
昔のそういったテレビ漫画(昔はアニメと言わずこう言ってたと思うんだけど)のオープニング映像なんか流れてて、
それはそれで懐かしかったけど。次のスペースには、懐かしい筑波博以降の、ピアノ弾きロボットから AIBO 達まで
が展示され、現代に戻ってきた感じ。そして一番最後には、新たに製作されている ASTRO BOY のデモムービーが…。
余りに現代的というか映画的というか、最近のゲームのオープニングにありそうな映像表現と内容に圧倒された…。
でもちょっとアトムのイメージとは違うような…。確かに格好良いし、アメリカ向きかもしれないけど。時間も余り
なくなって来たので、最後の物販では豪華なカタログと雑誌だけしか買わなかったけど、それで充分だったかも。
アトムだけでなく色々なロボットや歴史に触れられたのは、予想外だったけどなかなか貴重で面白い経験だった。
それにしても改めて手塚治虫の非凡な才能と人間的な部分には惹かれてしまう。原画展示コーナーで久し振りに見た
「気体人間の巻」の中の、真相を知らないお父さんに怒られて月に飛んでいくアトムと人間達に連れ戻されてベッド
で眠るアトムを気遣うお父さんロボットのシーンなんだけど、いつものことながら本当に涙が出そうになった。何故
こんな風に描けるのだろう。。。(
光文社文庫刊コミックシリーズ「鉄腕アトム」1巻 136〜139 頁)
それから、新宿
武蔵野館に。
今年になって2作品も、生涯で最も素晴らしいと感じる映画に出会えるとは。
一つ目は先日の「カンダハール」で、今回は、カンダハールを見た時の予告にあって是非見ようと思っていた作品。
今までは TV CM なんかにあるような有名な娯楽作品くらいしか知らなかったから、なかなかこういう作品を映画館
で見るということはなかったけれど。新宿にあるこういう映画館って、希有ではないのかしらん。
見に行ったのは「
鬼が来た!」という作品。
第二次大戦中の中国を舞台に日本軍が占領しているとある村での出来事…という形の中でストーリーは進むのだが、
はっきり言ってこういうの見ようとする若い人なんていないだろうと思ってタカを括ってたら、何故かカップルま
でいるんで驚いた。折角のゴールデンウィークなんだし、もっとぱっとしたとこ行こうよ…という感じで、狭い映
画館はすぐに一杯に。年輩の人もいて、こういう人達はどういう気持ちでこの映画を見るんだろうか…と思ったり。
日本軍占領下にある設定のその村は戦時下とは思えないような、それなりに平和な風で、そこに出て来る駐留する
日本兵なんかも不自然な程に気楽な感じで、捉えられた日本兵の感情の変化もいまいちリアリティに欠けるという
気がするほど不自然なまでに簡単で、ストーリーそのものも切迫している状況にありながら延々と人間的悲喜劇が
演じられていて、それは後半に入っても変わることなく…。しかし最後の最後の展開、中国人監督作品とは思えない
程にリアルな日本軍の描写に驚かされた後、突如発動する人間の狂気が畳みかけるように襲いかかり、そのラッシュ
はラストまで続き、誰もが救われないエンディングを迎える。伏線もあった最後の笑いが意味するものは何か。それ
にしても、この監督は何を考え何をしたくてこの映画を撮ったのかと思った。自分が子供の頃から今に至るまでその
正体を掴めず、常に知りたいと思っていること。それが正にこの映画のテーマだと思った。後にパンフレットの監督
へのインタビューを読んで、それが正にその通りだと知った。この監督は35歳だという。この監督に後6年で追いつ
けるんだろうか…。ストーリーの中では誰の心の中も語られない。事の発端となった「私」についても正体が明かさ
れることはない。様々な解釈があり、それによって様々な結末が考えられる。それこそが人間という不完全な実体の
何某かを表すのかも…。このストーリーはあくまでフィクションであって、現実を想起させる程に当時のリアルを描
いてこそいる(最後のワンシーンを除いてモノクロということもあるかもしれないが、中国作品とは思えない程に、
或いはここまで客観的に描くことに葛藤はなかったのかと思ってしまう程に、日本人や当時の全てが余りにリアルな
のだ)が、全てをリアルに表現している訳ではない。リアルな描写はあくまで手段であって、目的ではない。自分が
常に知りたいと思っている、一個人としては良い人が追い詰められたり非日常に於いて徐々に或いは突如として非人
間的存在となってしまうこの狂気について(衣食足りて礼節を知るというのは本当なのだろうが、それだけではない
動物的、或いは非動物的何かがある)、その一端を映像によって表してしまったのがこの作品だと思う。余りの素晴
らしさに最後まで席を立てず(多くの人が閉幕まで席にいた)、更にパンフレットの解説を読んだり、映像では多少
分かりにくかったところを採録シナリオで再度追いかけてみたりするうちに改めて素晴らしいと感じるに至った。こ
れ程の作品に巡り会えるとは、何という奇跡だろうか。自分では6年掛けても追いつきそうにない。もっと細かい感
想はここには書ききれない程だけれど、とにかく少しでも多くの人にこうした作品を見て感じて貰いたいと思った。
個人的には、小学生の頃には「はだしのゲン」、中学生には「ジェノサイド」のような写真集、そして高校生にもなった
らこういう作品を見て欲しいと思う。大人になってからでも良いが、出来るだけ早い方が良いと思う。余計なお節介
なのかもしれないけど、やっぱりそれだけ多くの人に見て貰いたいし、感じて貰いたい思う。ただ、感じることが出
来るかどうかは、それまでの各人それぞれの生き方や知識や考え方に依存するから何とも言えないけれど…。なにせ
自称評論家ですら、この作品について
「不快だった」「ステレオタイプ」「旧日本軍の悪を強調してやまない中国政
府による映画製作者への現在のマインドコントロール」等と情けないことを言っているからだ…。見るべきところは
そこではなく、また前提も間違っている。これはあくまでフィクションであり、日本軍が「悪」だなどとはどこでも言
われていない。人間の狂気こそがテーマなのだと思う。日本軍と中国人や米兵というのは、あくまで道具立てなのだ。
フィクションの世界にリアリティをもたらす為の道具であって、それだけに目がいってしまうのは、頭が固くなって
しまった可哀想な大人なのだ。だからこそ、尚更、子供の内に…と思うのだった。…それにしても、まだまだ感想が
書き切れなくてフラストレーションが溜まる…。ところで、この中国作品の原題は「鬼子夾了」と言って、鬼子とは
外国人に対する憎悪を込めた呼称で「外からやってくる悪しきもの」という意味なのだそうだ。敢えて日本語にする
としたら、鬼畜…といったところか。実際、鬼畜だったのは何だったのか。日本軍か。それとも…。人間の本性とい
う捕らえどころのない難しい問題の一部を垣間見せてくれる(想像力が欠如していればそれも無理だろうが)この作品
は、生涯忘れられない作品になると思う。
帰りに、「鬼が来た!」のパンフレットと、「カンダハール」監督の「
アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない
恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」を買った。何とも言えない気分だった。
#ところで「鬼が来た!」は、2000年カンヌ国際映画祭グランプリ作品とのこと。騒然となったそうだ。
5月4日(土)の日記。少し晴れている。涼しい。
昨晩は疲れて1時頃寝てしまった。
そして久し振りに8時前に気持ち良く目覚めることが出来た。体調も少しずつ良くなっているような気がする。
朝は、この日記の続きを書いたり洗濯をしたり。
午後からは、名古屋の人に会いに出掛ける予定。ただ、
場所が場所だけにちょっと…という感じ。
他人の趣味に対してどうこう言うようなことはなくなったけれど、やっぱり苦手なものにはなかなか。
いたたまれなくなったら退散すれば良いか…。今日は更にいたたまれない大きなイベントがあるようだけど。
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