今回の連休は、友達と遊んだり、読みたい雑誌をまとめて読んだり、或いは溜まって
しまった書き物なんかを書いたりしたいと思う。
そんな訳で、行きの新幹線の中で読んだ数冊の雑誌や本についてちょっと書いてみる。
今まで Debian GNU/Linux が雑誌の付録にフルパッケージで乗ることはなかった。
何せパッケージの数が尋常じゃない。それが UNIX USER の５月号には 2.2r2 が
堂々と付録で収録されているではないか。久し振りに思わず購入してしまった。
どうしてこれが実現したのかと言うと…２枚の付録のうち、１枚はいつもの CD-ROM
ではなく、DVD-ROM だったのだ。密かに感動してしまう。そうか、そういう時代に
なったのか…と。思えば、DVD-ROM が普及した時点で、これは期待して良かったの
かもしれない。これを使って、今は起動することも殆どない PC を完全な Linux
サーバにしてしまっても良いかな…。今までのままだとうまく動かなかったりした
から。問題はあの PC 古過ぎて、一部使えない機能があったり、重かったり、それ
に DVD-ROM 入れてないしなぁ。って、メイン PC 経由でインストールは出来るん
じゃないかと期待するんだけど…。
ハードカバーの BLACK JACK 16巻。その中の「腫瘍狩り」のラストに近いシーンの
１コマ。ここでの BJ の台詞。当たり前のことなんだけど、凄まじく心に響いた。
何と言うか、良く言わせてくれたという嬉しさと共に、そしてここでも手塚治虫の
姿勢が滲み出て感じられるようで、激しく感動した。ここのところ、医療に携わる
人達の患者を見ない言動が表沙汰になることが多いが、これは無論医療過誤や過失
という側面のことではなく、また患部を見て患者を見ずという側面でもなく、純粋
に自分達のことしか考えていないという至極基本的な問題の現れに他ならないのだ
が、こういう人間、恐らく彼らの殆どは BJ という作品を知っていると思われるの
だが、こういう人達にこそあの台詞をもう一度見て欲しい…と思った。本当に考え
るべきことは何なのか、それは医療の世界だけの話ではないと思う。そして最後の
中篇、「過ぎさりし一瞬」は個人的な色々なことも相俟って、凄く面白かっただけ
でなく、何とも言葉では言い表せられない心持となり、読後暫くぼうっとしながら、
この１冊のことばかり考えていたし、それから幾つか読み返してみては、殆ど泣き
そうになるのを我慢していた。漫画なのにそこらの中身の薄っぺらい漫画以下の小
説もどきが溢れる中、この一連の作品は未だにその重みと輝きとを失っていない。
素晴らしい。作品中の小道具や時代背景は流石に古臭いものを感じるが、そんなこ
と全く気にもならない位に現代に通じている。未だにこの手塚治虫という漫画家が
この世にいないとは信じられない気持ちだ。本当に素晴らしい…。これほど、感動
の余り涙が出そうになる作品にはそうそう出会えない。そう考えると、彼の作品が
もう読めないというのは…。とある最新鋭の医療器具を導入し臨床で使用した医師。
彼は BJ を正義感のない人間だと責めたが、その医療器具の欠陥が発覚するとその
事実を隠して対応の為の手術を敢行する。しかしその手術は失敗し、彼は BJ に後
始末を依頼。BJ は彼が事の次第を全て公表することを条件としたが、彼はそれに
対して反論する。「そんなことができるかっ。私にも名誉ってものがある!! 新聞
はこのミスについてかきたてるだろう 私はハジさらしだっ」と。そして目を伏せ
たまま彼は呟く。「たぶん私はつるしあげられる… あなたとちがって私はマトモ
な神経を持っているからね…たえられるか……」 BJ は彼と目線をあわせないま
ま「おまえさんまちがってやしないか」と呟くように言い、叫ぶ。「マトモな医者なら
なぜあたりまえのことができねエんだい!!」 真の正義感を持った人間だって沢山
いるのは知っている。それと同時に、権威や身勝手なプライドをまとった人間が数
多くいることも。そしてそれは自分にも言えることだと感じ、自省せざるを得ない。
海の向こうではまたまた佐々木が大活躍のようだ。嬉しい…。
